パリ五輪で銅メダルに輝き、馬術競技で日本勢92年ぶりのメダル獲得という快挙を成し遂げた、総合馬術団体の日本代表、北島隆三選手(38)が2日、母校の県立山辺高校(奈良市都祁友田町)の始業式に、今、暮らしているイギリスからリモート中継で出席。全校生徒約200人に向けてメッセージを贈りました。
神戸市出身の北島選手は小学5年のとき、競馬の騎手に憧れて乗馬を習い始めましたが、成長とともに身長が伸び、体重も増えていく中で、体重制限のある騎手への道を断念。その後、五輪を夢見て馬術競技に転向しました。
山辺高校に馬術部ができたのは北島選手が3年の時。前年の国民体育大会で好成績を収め、「(所属していた乗馬クラブからではなく)学校から試合に送り出してやりたい」という、周りの人たちの思いから創部されました。
北島選手は「この学校の生徒だった時、当時の校長先生から贈られた3C(チャレンジ、チェンジ、チャンス)の言葉が自分の人生の教訓になった」と述べ、「何事にも挑戦(チャレンジ)し、自分を変えていける(チェンジ)人にこそ機会(チャンス)が訪れる」と生徒たちを激励。現在、同校でただ一人の馬術部員である3年、竹島夏都さん(18)は「北島選手は憧れの大先輩。オリンピックでの堂々とした姿に勇気をいただいた。挑戦する気持ちを忘れずに頑張りたい」と話しました。
イギリスが夏時間(※注)で動いている期間、日本との時差は8時間。中継が始まる午前8時50分はイギリスでは夜中の0時50分ですが、北島選手は「後輩が喜んでくれるなら」と進んで引き受けてくれました。この日、同校校舎には北島選手の活躍をたたえる言葉を記した縦長の幕(懸垂幕)も掲げられました。
※注=日の出時刻が早まる4~10月ごろに時計の針を1時間進め、太陽の出ている時間帯を有効利用することを目的とした制度。欧米を中心に導入されている。
(取材/川田悠紀雄記者、2024年9月3日付第2社会面)
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