奈良市中院町の元興寺で23日夕、地蔵会があり、灯明皿に火を灯して家内安全や子どもたちの健やかな成長、そして、世界の平和を願いました。
境内には奉納者の願いが書かれた約1500個の灯明皿が並べられ、菜種油を注いでイグサの灯心に点火すると、幻想的な光が境内の石塔や石仏を照らしました。
国宝の曼荼羅堂(極楽堂)内では、辻村泰善住職はじめ同寺の僧侶に加え、近隣の寺院の僧侶が集まり、法要を行いました。法要後、境内の「浮図田」で、薄い板に願いを書いた塔婆(経木)に境内の井戸から湧き出した浄水をかける水塔婆供養が営まれ、多くの参拝者が手を合わせていました。
元興寺の地蔵会は中世以降に広がった地蔵信仰の伝統を受け継ぐ行事。灯明を灯して行う万灯供養は1988年の境内整備時に、石仏や石塔を「浮図田」として並べたのをきっかけに始まりました。
(取材/竹内稔人記者、2024年8月24日付1面)
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