奈良県内や他府県の博物館や図書館など、文化施設の館長や芸術家、民間企業のリーダーなど大人の委員が県の文化振興について意見交換する「県文化創造ギャザリング」の2回目の会議が20日、県庁で開かれました。この日は県内の子どもや若者も出席し、県立美術館(以下、県美)=奈良市登大路町=のこれからについて、積極的な提案をしました。ちなみに英語の「ギャザリング(gathering)」には「人々が集まる」「いろいろな意見を集める」などの意味があることから会議の名前になっています。
出席したのは、県が本年度、子どもや若者の意見を聞き、共に未来の奈良県をつくっていこうと立ち上げた「こどもまんなかクラブ」から小学3年~大学3年の3人と県立高円芸術高校(奈良市)の美術科、デザイン科の1~2年6人。同クラブは小学1年から29歳までの人を対象にメンバーを公募しました。
9人はこの日、会議の前に県美に集まり、「奈良県にどんな美術館があってほしいか」について意見を出し合いました。続いて、県美で展示の企画や調査研究などを行っている学芸員の案内で、開催中の特別陳列「江戸時代のきもの」を見学。展示の感想や今後、県美でどんなことをしたいかについても意見を発表し合いました。
その後、9人は県美からすぐ近くの県庁に移動し、「県文化創造ギャザリング」の大人の委員7人と意見交換。9人は一人ずつマイクを持ち、「キャラクターを集めて展示したら、いろいろな年齢層が美術館に来てくれるのでは」「(障がいの有無や年齢、性別にかかわらず、だれでも芸術活動に参加できる)インクルーシブアートを取り入れて欲しい」など、それぞれ提案しました。
会議のまとめ役を務める青柳正規 奈良県立橿原考古学研究所長は「今まで美術館ができなかったことを指摘してくれている。今後も気付いたことはぜひ意見をください」と呼びかけました。
会議終了後、こどもまんなかクラブから参加した山添村の小学3年中上海さん(8)は「勉強になった。美術館に興味が出た」、天理市の大学3年竹本心美さん(20)は「県美をもっと良くしていけるよう今後も関わっていければ」と述べ、県立高円芸術高校の美術科2年小泉涼音さん(17)は「大阪のように奈良の美術館も楽しい雰囲気の施設になれば」と期待を述べました。
子どもたちとの意見交換に続いて行なわれた大人の委員のみの会議では、現在の県美の建物(1972年設置)が古くなっていることなどから、建て替えを望む声が多く出されました。
(取材/竹内稔人記者、2024年8月26日付第1社会面)
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