平安時代の初めに真言宗という仏教の宗派を開いた僧侶、空海(弘法大師)とゆかりのある四国の88の寺を巡る『四国八十八カ所』を身近な場所に再現した宇陀市菟田野平井の「平井大師山石仏群」で8日、石仏の汚れを取り除く「石普請」が初めて行われました。参加者がこけや汚れをブラシで落とすと、石仏の輪郭がくっきり現れ、表情がよみがえりました。
同石仏群は、江戸時代末期に日本一と言われた石工、丹波佐吉が手掛けたとされ、小高い大師山の山中に四国八十八カ所と同じ寺の名前とそれぞれの本尊の名前をつけた石仏88体と弘法大師像16体のほか、石で造った五重塔などが安置されています。1時間半~2時間ほどで巡れるそうです。
今年の夏に同石仏群の写真集が刊行されたこともあり、石仏をより美しい姿に保とうと、地元の平井自治会などが呼びかけて「石普請」を行うことになりました。
「石普請」は定期的に実施している草刈りに合わせて行われ、地元住民と市観光協会のボランティアスタッフら計15人が3時間ほどかけて石仏のこけや汚れを取り除きました。
夫婦で参加した同市榛原の中島進さん(69)は「仏さまのお顔がきれいになり心が洗われた」と話しました。平井自治会の森岡孝雄会長(73)は「年3回草刈りを行い、秋には御詠歌も奉納している。毎年の石普請は難しいが、定期的に実施したい」と話しています。
(取材/山本夏美代記者、2024年9月13日付第2社会面)
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